
1つの空港で売られる弁当は、1日50個売れれば大ヒットといわれる中で、1日に350〜400個、1ヵ月にすると12,000個も売れているといいます。羽田・大阪・関西の3空港で限定販売(6個入り900円、4個入り600円)されています。
新鮮な鯖を焼き、福井産のコシヒカリを使った押し寿司。気密性の高い機内の空間に広がる鯖の臭みを消す為に焼き鯖の下にショウガとシイタケがうまく挟み込まれていて、肉厚の焼き鯖が口の中で具材と絶妙に絡んで実においしい。
焼き鯖寿司、実は福井県三国町の飲食店経営者、中本貴久さんが生みの親です。「福井の伝統料理である浜焼き鯖と寿司で三国町の名物をつくりたい」と試行錯誤を繰り返し、2000年5月に完成し、地元の祭り「三国祭」でお披露目したところ大人気。これに全日空が目をつけて空港の名物弁当にまで育て上げたといいます。
歴史的に見ても「鯖街道」があったように、鯖と福井の関係は深く、若狭から京に運んだばかりでなく、地元でも昔から日常的に鯖を食べてきました。さらに奥越地方では「半夏生鯖」と呼ばれる丸焼きの鯖を、夏のスタミナ源として食べる習慣が今でも続いています。つまり米どころであり、鯖との深い関係を持つ福井ならではの「発明」といってよいでしょう。
地場産業の振興が叫ばれています。私も及ばずながら努力していますが、じっとしているだけでは駄目です。国の支援を待つのではなく地元のアイデアとやる気が何よりだということをこの「空弁」から学んだことでした。